世間では「水虫は治らない!」と思い込んでいる人がたくさんいます。 しかし諦めてはいけません。治らないと思っている人の殆どが、正しい治療を行っていないだけです。正しく治療すれば水虫は完治する事が出来るのです。
水虫とは?
俗に「水虫」と一言でいいますが、実際は何が原因なのでしょうか?
カビはキノコ(菌糸)、酵母(イースト)等を含めて「真菌」といいます。 この真菌の中の1つが「白癬菌」です。その他に「カンジダ菌」「癜風菌」などもあります。
水虫の原因の約90%は「白癬菌」です。
 
この白癬菌は、皮膚の角質層や爪の中にある「ケラチン」というタンパク質を栄養源として増殖していきます。
人間の皮膚は、幾重にも層があります。一旦白癬菌が付着すると、菌は日々中へ中へ と入り込んでいきます。ですからおかしいな?と思ったら早めに皮膚科の専門医にかかる必要があるのです。
「早期発見・早期治療」これはすべての病気に共通する事ですが、水虫の治療でも大切なことです。
水虫はどこに寄生するのか?
水虫といえば「足に出来る」と思っている人が大半であります。 しかし水虫は足の先から頭のてっぺんまで何処にでも寄生するのです。もちろん爪の
中にも寄生します。
水虫の症状に代表的なものが3つあります。
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趾間型
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小水疱型
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角質増殖型
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足の指の間に寄生し皮がむけたり白くふやけます。また時にはジュクジュクした状態にもなす。 |
小さな水泡が足の裏に出来やすく、また土踏まずや足の縁にも出来る。 |
足 の裏全体の皮膚が厚く、また硬くなり菌が寄生する。特にかかとに多く見られる。 |
また、上記3つが混合する場合も多くあります。
足以外にも菌は寄生します。
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股部白癬(たむし)
股間部、特に足の付け根あたりに丸い輪のように発疹様症状が出来る。
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体部白癬(ぜにたむし)
顔・体幹・四肢等に丸い輪のように発疹様症状が出来る。
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爪白癬
手や足の爪の中に菌が寄生する。
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頭部白癬 (しらくも)
頭皮や髪の毛の中に菌が寄生する。
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水虫の治療法
足に痒みが出ると大半の人は「水虫」と思い込んでいます。しかし全てはそうでは 無いのです。 痒みが出た人の約半分は水虫で無い場合があります。
また逆に痒みが全く無く、ただ皮がめくれている場合の半分は水虫になっています。
これらの診断は薬剤師であっても見た目だけでは判断できません。 必ず皮膚科の専門医を受診してください。
自己判断の思い込みがもっとも危険であり、また治療を長引かす結果になるのです。
水虫における治療法は、
- 皮膚科の専門医を受診
- 診察の時に患部の皮膚や爪を少し削って顕微鏡で菌の有無を確認
一般的にはKOH法を用います。専門医の場合、細胞膜の溶解を促し、菌を早く浮き上がらせるために、
KOH(水酸化カリウム)+DMSO(ジメチルスルホオキサイド)試薬 を使うこともあります。
- 内服抗真菌剤の服用及び外用抗真菌剤の塗布
- 最低月1回以上の受診
- 医師の指示が出るまで継続治療
- 菌が消失後、再発予防の為にあと約1ヶ月間治療 → 治療終了
水虫の治療薬
水虫の治療薬にはたくさん種類があります。 一般的に知られているのが外用抗真菌剤です。
イミダゾール系
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医療用
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一般販売
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薬品名
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成分
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商品名
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フロリードーDクリーム・液 |
ミコナゾール |
ダマリン・ポリック・マルピー水虫薬 |
エンペシドクリーム・液 |
クロトリマゾール |
コザック・スコーピオ・スコルバ・タムチンキパウダースプレー・ピロエースW |
パラベールクリーム・液 |
硝酸エコナゾール |
トリポンエコナ・ポリカイン |
アデスタンクリーム |
硝酸イソコナゾール |
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トロシークリーム |
チオコナゾール |
ストレイタス |
エクセルダームクリーム・ソリューション |
硝酸スルコナゾール |
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デリマインクリーム・液
オキナゾールクリーム・液 |
硝酸オキシコナゾール |
サイビック・スコルバLX・ベンハーEX |
ピルツシンクリーム・ゲル |
塩酸クロコナゾール |
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マイコスポールクリーム・液 |
ビホナゾール |
アニベール・スパストップ・バイクリア・バイクリアプラス・ビホナエース |
ニゾラールクリーム・液 |
ケトコナゾール |
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アトラントクリーム・液 |
塩酸ネチコナゾール |
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アスタットクリーム・軟膏・液 |
ラノコナゾール |
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チオカルバメート系
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医療用
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一般販売
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薬品名
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成分
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商品名
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ハイアラージン軟膏・液
セパリンT軟膏・液 |
トルナフタート |
エフチール・カルピ・コザックD・コザックコート・サイクA・新ライナー・セパリンZ・
ダイナミカ水虫・タムシチンキゴールド・デシコート・ナタリーZ・バリアクト・ヒッコリZ 水虫薬住友W・ロンジーZ |
トルミセンクリーム・液 |
トルシクラート |
フットルースエース |
ゼフナートクリーム |
リラナフタート |
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ベンジルアミン系
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アリルアミン系
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医療用
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医療用
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薬品名
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成分
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薬品名
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成分
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メンタックスクリーム・液
ボレークリーム・液 |
塩酸ブテナフェン |
ラミシールクリーム・液 |
塩酸テルビナフィン |
ペキロンクリーム |
塩酸アモロルフィン |
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水虫治療における注意点
水虫治療において再発する人の中で最も多いのが「挫折」です。
痒みが出た時は薬を塗るが、痒みが無くなると薬を塗るのを止める人が半数以上なのです。
<水虫治療における注意点とは?>
- :毎日必ず塗る
水虫の治療期間は、身体の場所によって異なります。
体部白癬や股部白癬では 3~6週間ぐらいで治療は終りますが、足白癬の場合は角質層が他の場所より分厚いので最低3ヶ月以上かかります。
- :薬は広く塗る
水虫の菌は角質層の奥深く、また木の根の様に扇状に広がっていて皮膚の表面に出ているのは氷山の一角に過ぎないのです。ですから薬を塗る時は、必ず患部を含めて少し広めに塗るようにしなければなりません。
- :自己判断で治療を止めない
再発する人の多くが自己判断で薬を塗るのを止めています。
薬を塗り始めると、 体部白癬・股部白癬の場合は1週間前後、足白癬の場合は2~4週間前後で痒みも発疹も無くな り、一見完治したかの ように見えます。実はこれが水虫治療における「落とし穴」なのです。
一見完治したかのように見えているのは、角質層の表面だけなのです。水虫の菌は角質層の奥深くまで、 また、時には真皮の近くまで入り込んでいる場合があるのです。
ですから自覚症状が無くなっても、 少なくても3~4ヶ月間は毎日でなくても良いので医師の指示があるまでは必ず塗りつづける事が大切であり完治さす早道なのです。
菌は肉眼では決して見えないものですから!
- :日常予防
水虫の治療をしている間は、日常予防も大切なポイントです。
- 乾燥:
白癬菌はカビの一種です。高温多湿を好んで増殖していきます。ですから通気性を良くし汗にも十分気をつけなければいけません。
ナイロン性の靴下や女性のストッキングは汗などの湿気を吸いません。靴下は木綿の物を選び、履物も革靴やパンプス、長靴等は避けてサンダルやスリッパなどを履くようにしましょう。
一番は裸足が良いのですが、冬場等寒い時期は木綿の靴下を履いて下さい。
- 清潔:
手足の指の間や股の所は、お風呂やシャワーの時に石鹸で良く洗い清潔にしてください。その後はタオルで良く拭き取る事が大切です。
手足の甲や裏は何気なく拭いていますが、手足の指の間を拭き忘れる人がたくさんいます。実はこれも大切なポイントです。
その他にもプールや公衆浴場、健康ランドなどの足拭きマットを使ったときも、足の裏は良く拭く事が大切です。
- 掃除:
床や畳などに白癬菌が落ちている場合、それを家族や他人が足で踏んでしまったり手で触れたりすると感染してしまいます。
落下した菌は、場合によっては数ヶ月間も生き続けているのです。ですから、こまめにお部屋の掃除をすることは、他の人への感染予防や自分自身の再発予防において大切です。
見落としがちな爪白癬
手や足はもちろん皮膚に症状が出れば人はその異常に気づき自覚症状が出ます。
しかし自覚症状が殆ど無く静かに増殖していくのが爪白癬です。 殆どは水虫特有の痒みを感じず、ただ白く筋が出来たり、変色したり、変形などが起
きます。
実はこれが爪白癬の症状なのです。中には、内臓(特に心臓疾患)の病気によって爪 の変色もありますが、 内科などの検査で異常が無ければ、爪白癬を疑って薬剤師に相談するか、皮膚科の専門医を受診してください。
爪白癬の部位別発生頻度は、足のみが全体の約81%・手のみ約6%・手と足の両方が 約13%であります。 ですから、足の爪白癬になった場合は、手に感染することも十分に考えられます。
では爪白癬に感染した場合にどういった症状がでるのか?
初期症状:白い筋が出来たり、変色、変形、爪の中に空洞が出来たりします。
↓ (この段階では自覚症状がでません)
中期症状:爪がだんだんと分厚くなり、そして亀裂が生じて爪がボロボロになりま す。
↓ (まだこの段階でも、自覚症状が殆ど出てきません)
長期症状:ボロボロになってしまった爪は、最後にすべて崩壊してしまいます。
(少しずつ痒みや痛みといった自覚症状が発生してきます)
爪がすべて崩壊した後も、菌は爪の下の皮膚にまで増殖します。こうなるとさらに細菌の感染が起きやすくなり場合によっては指が2倍ぐらい腫れてしまうこともあります。
足白癬において、最悪の場合歩行困難になり入院しなければならないことも現実にあります。 ですから、爪白癬を侮ると場合によってはとんでもない事になるのです。
爪白癬治療
爪白癬は、皮膚よりも治療期間が長くかかります。 爪白癬の治療には、外用抗真菌剤と内服抗真菌剤を用います。
外用抗真菌剤だけで治療をした場合:手の爪で約1年半~2年以上・足の爪で約2 年~3年以上ぐらいかかります。
内服と外用を併用した場合:手の爪で約3ヶ月~半年・足の爪で約半年~1年ぐらいかかります。
近年、非常に効果の高い内服が出てきました。 内服を併用すると、外用のみの治療に比べて約半分ぐらいの治療期間で済みます。
しかし、内服薬の場合、副作用に肝機能障害があります。ですから高齢者や肝臓疾患などで肝機能が低下している人には投与出来ません。必ず、服用前に血液検査を行う必要があります。
服用開始時に肝機能が正常であっても、長期にわたり服用しなければならないので、 肝機能障害や血液異常といった副作用が起きる可能性があります。
副作用の発生率がもっとも高くなるのが、服用開始後6~8週間目がピークになります。
副作用チェックのため、服用開始後も定期的に血液検査を受ける必要があります。
代用的な内服薬
医薬品名
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成分
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用法用量
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併用禁忌
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ラミシール錠125mg |
塩酸テルビナフィン |
1日1回 125mg 食後 |
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イトリゾールカプセル |
イトラコナゾール |
1日1回 50~100mg食直後 |
トリアゾラム ・キニジン
アステミゾール・シンバスタチン |
グリセチンV
ポンシルFP |
グリセオフルビン |
1日1~数回 250~500mg |
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爪白癬はとにかく静かに増殖する病気です。一度感染すると治療期間が長くかかります。 しかし、きちんと治療をすれば必ず完治できます。
爪にしても皮膚にしても、水虫の治療において一番大切なことは
1に根気、2に根気、3・4がなくても5に根気!
これが早く治る一番の近道です。
一度自分の皮膚や爪をチェックしてみましょう!
監修 宗皮膚科医院 院長
宗 義朗
水虫に役立つサイト
爪Net 爪白癬専門の
サイト
Japan Foot Week 水虫治療全
般の詳しいサイト
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