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乾燥肌のお手入れ

 冬の寒い季節、お肌が乾燥してカサカサしてきます。肌が敏感になり、時には強い痒みを伴います。
 乾燥肌というのは、誰にも起こる可能性をもっています。そうならない為に、どう予防するかが大切です

人間の皮膚はどうなっているのでしょう?

 人間の皮膚はいくつもの『層』に分かれています。
  大きく分けると、表面から『表皮』『真皮』『皮下組織』に分かれます。
  さらに『表皮』を細かく分けると、『角質層』『顆粒層』『有棘細胞層』『基底細胞層』に分かれます。

  この中で乾燥肌にもっとも関係するのが、『角質層』です。 角質層には大切な物質が3つあります。

1:皮脂
2:天然保湿因子
3:角質細胞間脂質

 これら3つの物質が、角質水分保持機能と外からの刺激をブロックしてくれます。 そのバリアの役目を果たすのが、角質細胞間脂質の半分以上を占める『セラミド』です。
  このセラミドが不足してくると、角質層の水分が減少して、お肌がカサカサしたり、時には皮膚の表面が硬くなったりします。さらに硬くなると、今度は皮膚が割れだしたりします。ちょうど、アカギレみたいになり、痛みや痒み、時には出血したりもします。
  そうならない為にも、寒い季節は、お肌の手入れが重要になるのです。

なぜ乾燥肌になるのか?

 乾燥肌になる原因はいろいろ考えられます。  
 現代の日本の住居やオフィスなどの建物は、密閉性が非常に高くなっています。それに暖房をする時にも、昔は石油ストーブにヤカン等を乗せて、水蒸気を発生させたりして湿度の低下を防いでいましたが、最近では石油ストーブに替わってファンヒーターやエアコンを使うようになり、その為湿度がどんどん低下していきます。結果、それに伴いお肌の水分が蒸発していくのです。

 年齢的なことも大きな原因の1つになっています。
 角質層での水分を保持する機能は、年齢と共に減少していきます。
  女性の場合は、男性に比べると早くからその機能低下が始まり、 20代後半から起こります。この水分保持機能の低下とは、角質層のセラミドの減少です。
  乾燥肌になると、このセラミドが場合によって半分以下になってしまいます。

 また、乾燥肌に似た同じような症状の1つに、『皮脂欠乏性皮膚炎』があります。 これは、お年寄りに多く見られ、特に膝から下がカサカサして強い痒みを伴います。
 この『皮脂欠乏性皮膚炎』も乾燥肌と同じように、きちんとした予防が大切です。

◎乾燥肌や皮脂欠乏性皮膚炎になったら?

 はじめに大切なのは、お肌の保湿です。 お肌の保湿には、いくつかの保湿剤を使うのが有効です。

  • 入浴後に保湿剤入りのオイルやローションの塗布(但し、無香料・低刺激)
  • ワセリン ・ ヘパリン類似物質軟膏
  • 尿素軟膏(10%か20%含有)
  • ビタミンA軟膏

 また、強い痒みや炎症を伴う場合は、短期間だけステロイド外用剤(副腎皮質ホルモン)を塗って、 症状がある程度緩和されれば、保湿剤に切り替えるのも有効です。
  それでも痒みが止まらない場合は、痒み止めの内服薬(抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤)を飲む必要があります。

乾燥肌を防ぐにはどうするか?

入浴時の注意

☆過度の石鹸の使用を避け、低刺激の石鹸を使いよく洗い流す。
  石鹸を使いすぎると、皮脂の低下を招きます。

☆ボディータオルやナイロンタオルでの擦り洗いを避ける。
  硬いタオルで擦ると、角質層を傷つけ、削る結果になります。それより、手のひらに石鹸を泡立てて、 なぞるように洗うだけで汚れは落ちます。
☆硫黄入りの入浴剤は避ける。
  硫黄自体が油分を乾燥さす効果があるので、皮脂の低下を招きます。
☆お風呂のお湯はぬるめにして、長湯を避ける。
  熱いお湯自体が、皮膚の脂分を除去してしまいます。また、長湯は身体を過度に温めすぎて痒みを増強します。

衣・食・住の注意

☆直接肌につける下着や衣類は、木綿を着用する。
  毛糸の長いものやナイロン・ポリエチレン製は、チクチクしたり静電気の発生を招き痒みを誘発します。
☆アルコールや刺激物(香辛料の強いもの)を控える。
  血流増加や発汗作用により、身体を温め過ぎて痒みを増強します。
☆室内外の温度差を少なくする。
  温度差が大きいと痒みに対して、お肌が敏感になります。
☆部屋の湿度が40%を割らないようにする。
  湿度が下がり過ぎると、角質層の水分が蒸発しやすくなります。湿度が低下したら、加湿器などを使用する。
☆電気毛布やこたつの過度の使用は避ける。
  血流増加や発汗作用により、身体を温め過ぎて痒みを増強します。

その他の注意

☆ストレスを溜めすぎない。
  ストレスは、精神状態の不安定を招きイライラの原因になります。人間はイライラしてくると体温の上昇を招きます。 その結果、身体が温もり過ぎて痒みを増強してしまいます。
☆睡眠不足を避ける。
  睡眠不足になると、疲れが残ってしまい抵抗力が低下してしまいます。 その結果、ちょっとした外部からの刺激に対して皮膚が敏感になり痒みを招いてしまいます。

その他のスキンケア

 冬の寒い季節になると、他にもいろんな皮膚炎が起き易くなります。 その中で、代表的な2つの皮膚炎のスキンケアをどうするか?

 1つ目は、『手湿疹』(別名:主婦湿疹)

 夏場と違い冬になると、水仕事(炊事・洗濯など)でお湯をよく使います。そうすると指先の脂分がどんどん低下してかさつきを招き、その後皮膚がひび割れ、痒みや痛みが起こり、時には出血も起こします。
  また、お湯を我慢し過ぎて冷水を使いすぎると、角質層が厚くなったりもします。
  スキンケアとしては、カサカサしている程度であれば、尿素軟膏やヘパリン類似物質軟膏を、ハンドクリーム代わりにこまめに塗るのが有効です。しかし、一旦ひび割れを起こしてしまった場合、尿素軟膏ではかえって塗った時の刺激感(ヒリヒリ感・痛み)が出てしまいます。
  そんな時は、サリチル酸ワセリン軟膏を塗るのが有効です。サリチル酸ワセリン軟膏には、硬くなった角質層を柔らかくする作用があります。寝る前にサリチル酸ワセリン軟膏を塗って綿の手袋をして寝ると、さらに効果が現れます。但し、一度塗ったからといって、すぐに皮膚が柔らかくなるものでありません。毎日続ける事が大切です。

 2つ目は、『足底角化症』(別名:かかとのあかぎれ)

 人の皮膚の中で、もっとも角質層が厚いのがかかとです。本来、角質層の水分量が十分にある場合、皮膚は弾力を保つ事が出来ます。
  しかし、一旦水分量が低下してくると、角質層はすぐに硬くなり、あかぎれみたいにひび割れてきます。このような状態になった時には、 手湿疹と同じように、尿素軟膏(水分保持作用)が有効です。
  入浴中に、かかとを手でよくマッサージをして、お風呂から上がったらすぐに尿素軟膏を薄くよく擦り込んで塗るのが効果的です。
  しかし、あかぎれがひどくなり、角質層が割れてしまった場合は、サリチル酸ワセリン軟膏を入浴後に塗布する方が有効です。さらにサリチル酸ワセリン軟膏を塗った後に、綿の靴下を履いたり、ラップなどで覆うのもより効果的です。

 人の肌は、体質と同じように千差万別です。 春の暖かい便りが届くまで、お肌にとっては厳しい季節です。
  自分に合ったスキンケアを見つけて、それを毎日続ける事が大切です。
  それと同時に、日常予防をしっかりとしていかない限り、お肌の潤いは保てません。



Attention!! 2001.02.01

皮膚科学会がアトピー性皮膚炎の相談開始
不適切治療対策に本腰

 日本皮膚科学会・アトピー性皮膚炎治療問題委員会は、電子メールやファクスを使った患者相談の受付を開始しました。
 アトピー性皮膚炎の患者や家族を取り巻く情報は未だに錯綜しているため、少しでも混乱を取り除くことが目的です。

アトピー性皮膚炎治療問題研究会 (日本皮膚科学会)

〔内容〕

  1. 不適切治療調査について
  2. 治療ガイドラインについて
  3. 患者さんよりの相談コーナー
  4. 弁護士さんによるアトピービジネス被害110番について

〔相談方法〕   

回答担当:事務局を務める金沢大学の医師。1週間以内の回答が目標。   
相談方法:電子メール(atopic@med.kanazawa-u.ac.jp) 同委員会のホームページから出すことも可能
ファクシミリ(076-234-4274)

備考:日本皮膚科学会の学術委員会がまとめた 「アトピー性皮膚炎における不適切治療による健康被害の実態調査最終報告」、並びに日本皮膚科学会編「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」は、 日本皮膚科学会誌第110巻第7号(2000年6月)に収録されています。


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