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夏に多い病気『尿路結石』

 夏に多い病気『尿路結石』 汗をかきやすい夏に多い病気の一つに尿路結石があります。

1) 尿路結石とは

尿は、まず左右の腎臓で作られ、尿管を通って膀胱に貯まり、尿道を通って身体の外に出ます。この経路を尿路と呼び、この尿路に石ができることを尿路結石と言います。尿路結石を疑った場合は、まず結石がどこにあるのか、尿路の障害はないのか、また、結石ができた原因は何かをはっきりさせることが大切です。

2) 臨床症状(三大主徴)

  1. 腹痛(疝痛発作)--耐えがたい激痛発作を起こします。
  2. 血尿
    1. 顕微鏡的血尿--本人にはわからない
    2. 肉眼的血尿----尿をみればすぐわかる。
  3. 再発しやすい。(30%のひとは再発する。)

3) 尿路結石の分類

  • 出来た場所による分類
    • 腎結石(腎盂結石)、尿管結石、膀胱結石、前立腺結石
      ---尿管結石が一番多い、しかも一番痛い---
  • 結石の成分による分類
    • 塩類 蓚酸カルシウム 、燐酸カルシウム 、燐酸マグネシウム・アンモニウム尿酸 、シスチン
    • マトリックス(2.5%) ムコ多糖、ムコたんぱく  --要注意は尿酸結石とシスチン結石---

4) 結石はどんな人がなりやすいの?

人口10万人に53.2人が年間罹患数です。男性は女性の約2倍~3倍出来やすいと言われます。ストレスが多い、30~50歳の中間管理職に多く見られます。

5) 結石の原因は?

  • 突発性結石症(結石の90%を占める。)
  • 先天異常(シスチン尿症より起こるシスチン結石)
  • 腸管の病気 ・ 副甲状腺腫(尿中のカルシウムの増加)
  • 水腎症(尿が流れにくくなる)
  • 腎盂腎炎、慢性膀胱炎等の慢性尿路感染症
 などにより尿中に結晶がたまり、それが結石となるようです。
6) 関連する病気
  1. 高カルシウム血、尿症を起こす病態 (原発性副甲状腺機能亢進症、 体動の制限 )
  2. 酵素異常 (高蓚酸尿症、キサンチン尿症)
  3. 尿細管の異常 (シスチン尿症、腎尿細管性アシドーシス)
  4. 高尿酸尿症をおこす疾患 (痛風、プリン代謝亢進)
  5. 二次結石 (感染、尿路通過障害)

7) 予防法  普段の生活で出来ることをして予防しましょう。

  1. 水分摂取
    1)1日2lの尿量を維持すること(分割的な摂取および就寝前摂取)
    2)水分摂取の半分以上は飲料水とし他は番茶がよい。 過度のコーヒー、紅茶、コーラ、ジュースの摂取はさける。
    3)アルコール摂取は過度にならぬようにし、就寝前に必ず飲水する。   連日の摂取はさけること。
  2. 食事内容
    1) バランスのとれた食生活を行う。
      カルシウムを多めに摂取(目標800~1,OOOmg/日)  
     脂肪,蛋白,糖分,塩分摂取制限→尿中Ca排泄量を増加させる
     蓚酸を多く含む食品の摂取制限。→ほうれん草,タケノコ,緑茶,紅茶,チョコレートなど
    2) ビタミンCをとりすぎない。→長期服用は高蓚酸尿症の原因となる   
    3 )食事中にコップ1杯の低脂肪牛乳を!→Caを摂ると腸管での蓚酸吸収が抑制され、尿中蓚酸排泄量が減少する  
  3. 日常生活       
    1)一度に多量摂取せず、朝、昼、夕食に分け栄養素を摂取する。   
    2)適度な運動を実施し、発汗後は水分摂取のこと。 →特に夏場は汗の形で思っているより水分が蒸発してしまうので注意   
    3)ストレスを解消し十分な睡眠と精神的な余裕が必要。

「あなたの尿路結石の危険性」を自己チェックしてみませんか。
NHK健康ホームページ http://www.nhk.or.jp/kenko/


8)治療法

  • A. 対症療法:痛みを止める (指圧、くすり...鎮痙、鎮痛剤 漢方薬)
  • 自然排石の促進 (水分摂取、運動...とにかく縄飛び、ジョギングなどなど)
  • 保存的療法:食事、薬物  (シスチン:重曹・チオラ、 尿酸結石:重曹・アロプリノール )
  • 体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
    衝撃波発生装置で発生させた衝撃波を結石に照射し破砕する
  • 内視鏡的摘出 (経皮的腎結石摘出術 (PNL) 、経尿道的尿管結石摘出術 (TUL) 、内視鏡:硬性 rigid、軟性 fiber、破砕法:超音波、衝撃波、レザー)
  • 手術    腎切石術 , 腎盂切石術 、尿管切石術 , 膀胱切石術

 

9) 結石になったら泌尿器科を受診しましょう。

 結石の成分によっては、薬の内服によって治療や予防が可能ですので、必ず泌尿器科専門医に相談することが大切です。 http://www.10man-doc.co.jp/


尿路結石こぼれ話

□ 軽症の場合は、「ビール療法」が効果的

 約90%が水分のビールは特に抗利尿ホルモンの作用を低下させるので、トイレが近くります。結石が小さいうちなら、ビールを飲んで大量の尿とともに体外に流し出してしまうことが可能です。

 しかし、飲みすぎは、利尿作用後の尿の濃縮・ 尿中への尿酸排泄の増加・ 尿の酸性化 を招き、尿酸結石やシュウ酸結石を作りやすくする危険性もあるのでほどほどに・・・

□ カルシウムの取りすぎは結石になるか?

いいえ。カルシウムの取りすぎで結石が出来ることはほとんど無く、むしろ少ないことの方が結石の心配があります。 尿路結石は8割以上がカルシウム結石です。高カルシウム尿は結石の形成にあまり影響せず、むしろ高シュウ酸尿が主な危険因子であることがわかってきました。尿中のシュウ酸を減少させるためには、カルシウムを多く摂って腸管内でシュウ酸と結合させて不溶性のシュウ酸カルシウムを便として排泄させることが結石生成の予防になります。


尿路結石発生の副作用報告のある薬物、並びに添付文書で禁忌とされている薬物は下記の通りです。

薬  品  名
副作用 禁忌
備考
活性型VD剤
 
 
腸管でのCa吸収を促進させ、高Ca血症高Ca尿症、高リン酸尿症を来して結晶質の過剰排泄をきたす
 αカルシドール(ワンアルファ等)
 
 カルシトリオール(ロカルトロール等)
 
糖質コルチコイド
 
 
骨粗鬆書と高Ca尿症を促し結晶質の過剰排泄をきたす 尿酸排泄増加等
 プレドニゾロン
 
 メチルプレドニゾロン
 
Ca製剤
 
 
過量投与による高Ca血症
 L・アスパラギン酸Ca(アスパラCA)
 
 グルコン酸Ca(カルチコール)
 
 沈降炭酸Ca
 
 乳酸Ca
 塩化Ca
 リン酸水素Ca
健胃薬
 
 
長期、大量投与による高Ca血症
 健胃薬SM散
 
抗てんかん薬
 
 
 
 ゾニサミド(エクセグラン)
 
サルファ剤
 
 
尿の酸性化を起こしやすい為
 サラゾスルファピリジン(サラゾピリン等)
 
 スルファメトキサゾール (シノミン)
 
 ST合剤(バクタ等)
 
炭酸脱水素酵素阻害剤
 
 
尿中のHCO3-排泄増加による
 アセタゾラミド(ダイアモックス)
 
K+保持性利尿薬
 
 
尿中のHCO3-排泄増加による
 トリアムテレン(トリテレン)
尿酸排泄促進剤
 
 
尿酸を排泄することで高尿酸尿症、また、尿のphも酸性化することによる
 スルフィンピラゾン(アンツーラン)
 
 プロベネシド(ベネシッド等)
 
 ベンズブロマロン(ユリノーム)
 
白血球減少症治療剤
 
 
尿中及び血中の尿酸値の上昇による
 イノシン
 
 アデニン(ロイコン)
抗ウイルス薬
 
 
尿中及び血中の尿酸値の上昇による
 イノシンプラノベクス (イソプリノシン)
 
抗HIV薬
 
 
溶解度が低く、生理的尿phの状態でも析出しやすい
 メシル酸サキナビル(インビラーゼ)
 
 硫酸インジナビルエタノール付加物 (クリキシバン)
 

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