兵庫区薬剤師会ホームページ・トピックス

食中毒の季節です!(O-157対策)

 食中毒の季節です!以前、O-157感染の犠牲者が多く出た年がありました。今年も栃木県でハムにO-157による、食中毒が見つかっています。厚生省に報告のあった食中毒事件だけをみても、家庭の食事が原因の食中毒が全体の20%近くを占めています。 家庭でできるO-157対策を考えましょう。

 食中毒の予防のためには日頃の健康管理が重要です。健康な体を保つと強い酸性の胃液が十分分泌され、口から入る多くの食中毒原因菌は殺され、従って発病しないからです。現在16種類もの菌が 食中毒を起こすことが分かっています。食中毒予防のためには、正しい、しかも幅広い知識を身につけることが大切でしょう。

【 敵の正体を知ろう!】

1) O-157大腸菌とは

一般の大腸菌は健康な人の大腸内に生息し、特に病気を起こすことはありません。しかし姿形は一般の大腸菌と区別のつかない下痢を引き起こす大腸菌がいます。これらの大腸菌は下痢原性大腸菌あるいは広義の 病原性大腸菌と総称されます。

下痢原性大腸菌(広い意味での腸管病原性大腸菌)の分類

毒素原性大腸菌(Enterotoxigenic E. coli,  ETEC: イーテック)
腸管付着性大腸菌(Enteroadherent E. coli,  EAEC: イーエーイーシー)
腸管侵入性大腸菌(Enteroinvasive E. coli,  EAEC: イーエイック)
腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic E. coli,  EHEC: イーヘック)
腸管病原性大腸菌(Enteropathgenic E. coli,  EPEC: イーペック)

  O-157は、腸管出血性大腸菌(EHECあるいはVTECと略称される)に分類されます。VTEC(EHEC)の定義は、「ベロ毒素」(VT1型とVT2型の2種類がある)という特別な毒素を出す大腸菌をいい、O-26、O-111、O-128、O-145等も同じ様な病気を引き起こします。しかし、O-157によるものが圧倒的に多く約60~80%を占めます。
O-157とは、大腸菌の持つO抗原のうち157番目のものを意味し、いわば大腸菌の持つ背番号のようなものです。 ETECの特徴はこの下痢を起こす毒素(=腸管毒、エンテロトキシン)を産生することで、この毒素には2種の異なるエンテロトキシン(耐熱性エンテロトキシンと易熱性エンテロトキシン)を産生します。  
この菌は、1982年にアメリカでハンバーガーが原因となった食中毒が契機となって発見された菌で、比較的新しい食中毒原因菌です。 この菌は食中毒菌の中でも感染力が特に強く、一般の食中毒原因菌の場合は10万~100万個以上の菌を食べないと食中毒は 発症しませんが、この菌の場合は数100~1,000個で発症すると 考えられています。

2)感染した場合の症状

潜伏期

1~10日(汚染食品(菌)をどれくらい食べるかにもよる)。 一般食中毒に比べてかなり長い

初期症状
下痢、吐き気、嘔吐、腹痛など一般の食中毒と区別がつかない。10%程度の例では、悪寒、発熱さらに上気道感染症状を伴うなど風邪と間違えるような症状で始まることもある
典型的な症状
血便が出だし、鮮血様の血便となる。少し遅れて溶血性尿毒症症候群 (HUS)や血栓性血小板減少性紫斑病、痙攣や意識障害など脳症を呈する例もあり、死に至ることもある。

  いずれも本菌の産生するベロ毒素の作用(蛋白合成阻害により、標的細胞を殺す)によります。子供や老人の場合は、重篤になりやすいです。死亡率は、感染した O-157が産生するベロ毒素のタイプ(VT2型の毒性が強い)にもよりますが、500~1,000人に1人程度です。

【感染した場合の対処方法】

 食中毒症状を認めたら、適当な医療機関を受診しましょう。早期の抗生剤投与が有効なので、早めに病状の変化を把握し、対処するために、検査が独自の施設でできるところが好ましいです。自分で疑わしい食品がわかれば検査のため 持参するのもよいでしょう。吐物、便を乾燥しないような容器にとり、持参すると参考になります。素人判断で、下痢止めなどを服用しないほうがよく、 無理に下痢を止めると腸内に病原菌を閉じ込め異常増殖させ、その結果ベロ毒素を大量に産生させるため、病気を悪化させることになります。

 また、ある程度進行した場合は、抗生物質投与は、菌を破壊するため、かえって菌の中に持っているベロ毒素を一気に放出させる事になるので、病状を悪化させると言う報告が出ています。ポカリスエットのような電解質バランスの保てるような水分を十分取ることも必要な事です。

O157感染、抗生物質投与でHUSのリスク大

病原性大腸菌O157:H7感染者に抗生物質を投与すると、HUS(溶血性尿毒症症候群)を発症しやすくなるという研究結果が出ました。詳細はNEJM誌6月29日号に掲載予定です。詳細は、http://www.nejm.org/content/wong/1.asp 但し、内容英文です。

要約:米国の研究者Craig S. Wong氏らによるコホート研究で、対象はO157:H7感染による10歳以下の下痢患者71人。抗生物質の投与を受けたのは9人で、そのうち5人がHUSを発症していた。71人全体ではHUSを発症した人は10人(14%)。なお、臨床症状や検査データについては、抗生物質投与群と非投与群に差はない。

食中毒は簡単な予防方法をきちんと守れば予防できます。
家庭で行うHACCP
宇宙食から生まれた食品の衛生管理手法

【HACCP (Hazard Anaiysis and Critical Control Points) 危害分析重要管理点とは】

 ロケットに乗って長期間宇宙を旅する時、宇宙飛行士たちが宇宙旅行中に食中毒にならない様に、飛行士たちの食事は絶対に安全でなければなりません。そこで、NASA(アメリカ航空宇宙局)は、食品の安全性を確保するための方法を考え出しました。これが、危害分析(HA)・重要管理点(CCP)=HACCPと呼ばれる衛生管理の手法です。
  最終製品の検査によって安全性を保証しようとするのではなく、製造における重要な工程を連続的に管理することによって、ひとつひとつの製品の安全性を保証しようとする衛生管理の手法です。
  家庭の調理における「危害分析」(HA)とは、食品およびその調理過程に含まれる可能性のある食中毒原因と、その発生防止方法を分析することです。食品と調理過程のどこで食中毒菌による汚染、増殖が起こるか、それを防ぐにはどういう手段があるかを考えることがこれにあたります。 例えばO157やサルモネラによる食中毒などは重大な害と言えます。このような害をどのようにしたら防げるかについて手順を明らかにし、調理の際、特に注意を払うべきポイント(正しい調理法)を「重要管理点」(CCP)と呼び、家庭では、下記の「6つのポイント」がこれにあたります。さらに、HACCPでは、そのような正しい調理方法がきちんと守られているのか常にチェックし、記録します。
  「きれい」と「清潔」は違います。きれいな台所が必ずしも清潔で衛生的な台所とは限りません。外見だけで安心せず、衛生的な調理、取扱いを心がけましょう。 食中毒の予防には「きれい」なことよりも「清潔」で「衛生的」なことが大切なのです。


【 食中毒予防の三原則 】
http://www.iph.pref.osaka.jp/PHC/nawate/food/food.html

 食中毒菌を「付けない(清潔)、増やさない(迅速、加熱)やっつける(加熱)」です。
【殺菌消毒方法】 1) 食器や器具などをよく洗う。 2) 殺菌後はよく乾燥させて、再び菌がつかないように保管する。
【煮沸消毒】 少なくとも3分以上は煮沸してください。
【薬剤による消毒】 調理器具(まな板等)は、次亜塩素酸ナトリウムの水溶液等(有効塩素量100ppm)に5分以上漬け込みます。 殺菌成分のない単なる洗剤では効果がありません。薬剤による消毒のあとは、すすぎを十分に行ってください。 【アルコールスプレーによる方法】乾燥したあとアルコールをスプレーすると消毒効果があります。


【家庭でできる食中毒予防の6つのポイント】
http://www.mhw.go.jp/houdou/0903/h0331-1.html

ポイント 1 食品の購入

  • 肉、魚、野菜などの生鮮食品は新鮮な物を購入しましょう。
  • 表示のある食品は、消費期限内に使いきりましょう。
  • 購入した食品は、肉汁や魚などの水分がもれないようにビニール袋などにそれぞれ分けて包み、持ち帰りましょう。

ポイント 2 家庭での保存

  • 冷蔵や冷凍の必要な食品は、持ち帰ったら、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう。
  • 冷蔵庫や冷凍庫の詰めすぎに注意しましょう。冷蔵庫は10度C以下、冷凍庫は、―15度C以下に維持すること。7割程度に詰めるのが目安です。
  • 早めに使いきるようにしましょう。
  • 肉や魚などは、ビニール袋や容器に入れ、冷蔵庫の中の他の食品に肉汁など がかからないようにしましょう。
  • 肉、魚、卵などを取り扱う時は、取り扱う前と後に必ず手指を せっけんで洗い流水で十分流しましょう
  • 食品を流し台の下に保存する場合は、水漏れなどに注意しまし ょう。また、直接床に置いたりしてはいけません。

ポイント 3 下準備

  • 台所を見渡してみましょう。 ゴミは捨ててありますか? タオルやふきんは清潔なものと交換し てありますか? せっけんは用意してありますか? 調理台の上は かたづけて広く使えるようになっていますか? もう一度、チェ ックをしましょう。床も清潔にしましょう。
  • 井戸水を使用している家庭では、水質に十分注意してください。
  • 手を洗いましょう。
  • 生の肉、魚、卵を取り扱った後には、また、手を洗いましょう。 途中で動物 に触ったり、トイレに行ったり、おむつを交換し たり、鼻をかんだりした後 の手洗いも大切です。
  • 肉や魚などの汁が、果物やサラダなど生で食べる物や調理の済んだ 食品にかからないようにしましょう。
  • 生の肉や魚を切った後、洗わずにその包丁やまな板で、果物や野菜 など生で食べる食品や調理の終わった食品を切ることはやめましょう。洗ってから熱湯をかけたのち使うことが大切です。 包丁やまな板は、肉用、魚用、野菜用と別々にそろえて、使い分ける とさらに安全です。
  • ラップしてある野菜やカット野菜もよく洗いましょう。
  • 冷凍食品など凍結している食品を調理台に放置したまま解凍するのは やめましょう。室温で解凍すると、食中毒菌が増える場合があります。解凍は冷蔵庫の中や電子レンジで行いましょう。また、水を使って解 凍する場合には、気密性の容器に入れ、流水を使います。
  • 料理に使う分だけ解凍し、解凍が終わったらすぐ調理しましょう。 解凍した食品をやっぱり使わないからといって、冷凍や解凍を繰り 返すのは危険です。冷凍や解凍を繰り返すと食中毒菌が増殖したりす る場合もあります。
  • 包丁、食器、まな板、ふきん、たわし、スポンジなどは、使った後 すぐに、洗剤と流水で良く洗いましょう。ふきんのよごれがひどい 時には、清潔なものと交換しましょう。漂白剤に1晩つけ込むと消 毒効果があります。 包丁、食器、まな板などは、洗った後、熱湯をかけたりすると消毒 効果があります。たわしやスポンジは、煮沸すればなお確かです。

ポイント 4 調理

  • 調理を始める前にもう一度、台所を見渡してみましょう。下準備で台所がよごれていませんか? タオルやふきんは乾いて清潔なものと交換しましょう。そして、手を洗いましょう。
  • 加熱して調理する食品は十分に加熱しましょう。加熱を十分に行うことで、もし、食中毒菌がいたとしても殺すことができます。めやすは、中心部の温度が75度Cで1分間以上加熱することです。
  • 料理を途中でやめてそのまま室温に放置すると、細菌が食品に付いたり、増えたりします。途中でやめるような時は、冷蔵庫に入れましょう。再び調理をするときは、十分に加熱しましょう。
  • 電子レンジを使う場合は、電子レンジ用の容器、ふたを使い、調理時間に気を付け、熱の伝わりにくい物は、時々かき混ぜることも必要です。

ポイント 5 食事

  • 食卓に付く前に手を洗いましょう。
  • 清潔な手で、清潔な器具を使い、清潔な食器に盛りつけましょう。
  • 温かく食べる料理は常に温かく、冷やして食べる料理は常に冷たくしておきましょう。温かい料理は65度C以上、冷やして食べる料理は10度C以下が目安です。
  • 調理前の食品や調理後の食品は、室温に長く放置してはいけません。例えば、O157は室温でも15~20分で2倍に増えます。

ポイント 6 残った食品

  • 残った食品を扱う前にも手を洗いましょう。残った食品はきれいな器具、皿を使って保存しましょう。
  • 残った食品は早く冷えるように浅い容器に小分けして保存しましょう。
  • 時間が経ち過ぎたら、思い切って捨てましょう。
  • 残った食品を温め直す時も十分に加熱しましょう。めやすは75度C以上です。味噌汁やスープなどは沸騰するまで加熱しましょう。
  • ちょっとでも怪しいと思ったら、食べずに捨てましょう。口に入れるのは、やめましょう。


兵庫薬剤師会トピックス バックナンバー