口内乾燥と薬
 高齢者は、よく口内炎ができることがあります。
  その原因の一つは、加齢により、唾液の出方が悪くなることにあります。そのため口の中が乾燥して、口内の酸性度が低くなり、外から入ってくるばい菌をやっつける能力が低下します。
  また、入れ歯や食べ物により、傷つきやすくなることもあります。
  しかし、加齢のせいばかりとはいえなくて、薬が原因で、異常に口内が乾燥することもあります。口が渇く、唾液が出ない、食事のときによく水を飲む、虫歯や入れ歯の違和感が増加したなどがあれば、口内乾燥の可能性があります。


≪口内乾燥を起こす頻度の高い薬剤≫
  1. 降圧剤(血圧を下げる薬)
      ラウオルフィア製剤(レセルピンなど)
      冠血管拡張薬(アダラートなど)
  2. 向精神薬
      フェノチアジン系(コントミン・ヒルナミンなど)
      三環系抗うつ薬(トフラニール・アナフラニール・トリプタノールなど)
  3. 抗てんかん薬
      クランポール・テグレトールなど
  4. パーキンソン病薬
      アーテン・ネオドパストン・シンメトレルなど
  5. 抗ヒスタミン薬
      レスタミンなど
  6. 鎮咳去痰薬
      エフェドリンなど
  7. 消化性潰瘍治療薬
      ベラドンナアルカロイド(アトロピン・スコポラミンなど)
      抗コリン薬(ブルコパン・メサフィリン・コランチルなど)

≪口内乾燥(口渇)の防ぎ方≫

 原因によっては原因を除去することで治る口内乾燥もあります。
 薬剤が原因でおこる口内乾燥は、薬の服用を中止するか、または他の薬剤に変更することで治る場合がほとんどです。しかし、大抵の薬は必要があって飲んでいただいていたり、他薬では効果が十分に得られない場合が多く、副作用としての口渇と必要な主作用のバランスを考えて使っていく必要があります。

 簡単に出来る対処法

  1. うがいや水分補給をする・・・多量の水分を取るのは逆効果です
  2. のど飴をなめて唾液分泌を促す・・・普通の飴はやめましょう
  3. 対処薬剤の投与・・・唾液を出させる薬と唾液の代わりになる薬があります

口内乾燥治療薬

塩酸L−メチルシステイン ペクタイト錠 *1酵素活性を抑制
塩酸L−エチルシステイン チスタニン糖衣錠  
塩酸セビメリン水和物 エボザック *2唾液腺ムスカリン受容体を刺激
漢方薬 百虎加人参湯  
麦門冬湯
塩化Na/塩化K/塩化Ca/塩化Mg/クエン酸一水素K(添加物:カルボキシメチルセルロ−ス/Dソルビトール/安息香酸Na/ソルビン酸) サリベート *3人工唾液

==薬理的説明==
*1 構造上SH基を融資、各種蛋白質中のS-S結合を切断する。特にブラジキニン分解酵素(キニナーゼ)のS-S結合を切断し酵素活性を抑制する。そのため、唾液量が増加すると考えられる。
*2 シェーグレン症候群(更年期の女性に多く発症する唾液腺や涙腺細胞障害による口腔や眼の乾燥を特徴とする自己免疫疾患。常時悩まされるためQOL上患者や家族に深刻な影響を与える。
*3 噴霧することで唾液の変わりになる。容器を立てて口腔内へ1回1〜2秒、1日4〜5回目安で噴射する。使用後噴霧口付近をよくふき取り、キャップをして清潔に保存する。味やにおいが気になる場合は、冷蔵庫で冷やしてから使用するとよい。添加物のための蕁麻疹・痒みや吐き気などの副作用に注意。

うがい薬の使い方

アズレン含嗽剤(アズノール・ハチアズレなど)
 口腔に損傷があるときは抗炎症作用と治療促進効果
ヨード剤(イソジン)・殺菌消毒剤(オキシドール・お茶) 
 感染予防/消毒に効果

 口腔内を洗浄するつもりで適量を頬に片方ずつ含み、ブクブクとうがいをして吐き出します。これを数回繰り返します。
 口内乾燥が症状として起こる可能性のある病気(たとえば糖尿病)などもありますので、口内乾燥が起こっている原因を見つけることが大切です。
 時々お口の中を点検してみましょう。こまめに口をゆすぐ習慣をつけましょう。




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